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No.8
再び超個人的に記憶に残った話を書きます。1990年に学校を卒業して当時の株式会社イーピーモータースに入社しました。BMWのディーラーという家業に入りました。私も若いつもりですが、よく若い人が自分のしたい仕事が見つからないとか、又見つけたいということを聞きますが、BMWのディーラーというのは私が見つけて入ったわけではありません。私の父が行っていた家業として、継ぐべくして仕事を始めました。周りからすれば、決まっているので悩まなくて良いとかいう見方もありますが、選択の余地がないという苦しさも本人からすれば当然感じていました。子供の頃から社員の人や親戚や、周囲の人から「大きくなったら社長になる「」とか、「ならなければならない。」とか言われて育ちましたが、実はとても嫌でした。社長の息子という呼び名は、言われてみないとわからないでしょうが結構辛いものです。

そんな複雑な気持ちを持ちながら、実際には父親ともいろんなトラブルがあって家業に何となく釈然とせずに帰ってきたのでした。バブルが崩壊して、釈然としないことなど感じてる余裕が無い状況下に置かれ、生きる為に仕事をしていた時に、学校の先輩に車を買ってもらいました。私自身は商品知識がありませんし、注文書の書き方も良くわからない、そして何よりも値引き交渉で先輩と直接話をするのも嫌だったので、商談は全て担当のセールスマンにお願いして契約頂きました。契約後には、値引きをもっとしろとか何とか嫌味を言われましたが、無事納車が終わった次の日の朝のことです。

朝礼をしていると、その先輩から直接話をしたいという電話をもらいました。納車して翌日の、しかも朝礼中のことですから悪い電話に間違いないと想像し、血の引く思いがしました。故障か?装備が思いと違うのか?傷でもあったのか?電話を取る3-4秒に色んなことが頭の中を駆け抜けていました。恐る恐る電話に出ると、「北川、朝からすまんなあ。計らずも買ったけど、いい車やわ。ありがとう。それだけや。」と言われ、本当にそれだけで電話は切られました。きっと、私はありがとうございます、ぐらいは言ったと思いますが、よく覚えていません。ただただ、とっても嬉しくて、目頭が熱くなりました。

本人には言ってませんが、あの瞬間にBMWのディーラーと言う仕事が自分の仕事で、行き着いたのは自分の意思ではありませんでしたが、幸せだと思いました。IY先輩ありがとう。あの言葉は私の人生を変えた一つの言葉だと思っています。

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